セキュリティ対策vol.19|業務外の仕事を引き受けるとミスが4倍になるってホント?
仕事の集中力が持たない、ミスをする原因はどこに
仕事をしていて、「こんなに忙しかったのに、出来上がった成果物の出来に満足がいかない」「自分の仕事に集中したいのに、業務外の仕事を断れない」そんな状況に心当たりがないビジネスマンはいないと思われます。
そんな時「もっと注意してやらないと」と思いながらも「じゃあどうやって注意するのか」というのは具体的にはなかなか思いつかないと思います。
人の脳はマルチタスクを処理するようにできておらず、一説には
「2.8秒作業を中断すると、ミスの発生率が2倍になり、4.4秒中断されるとミスの発生率は4倍にもなる」
と言われています。
つまり、電話を取る、ちょっとした質問に答える、これらのオフィスで当たり前に繰り返されている出来事があなたの仕事のクオリティを下げるということが、科学的にも明らかになっているということです。
そうはいっても、まったく邪魔の入らない空間はありません(例えば「電話を取る」ことで集中力が切れるのではなく「電話の音が鳴った」時点で止めたいという意志が働き、集中力は途切れます)し、仕事をするうえでどうしたって集中力を保ち続ける環境を用意することは現実的ではありません。
それでは、どういった対処をすることが有効なのでしょうか?どのように仕事に取り組むべきかを考えたいと思います。
マルチタスクは「気持ちいい」という事実
マルチタスクを行う場合に、脳内では猛スピードで複数のタスクを連続的に切り替えるという状態になります。
これは「2つのタスクを同時に行っている」ということではなく、細切れにしたタスクをそれぞれ順に処理しているという状態に当たります。
その一方で人間の脳は小さなタスクを完了するたびにドーパミンが分泌されるため、マルチタスクをして「小さなミニタスクを切り替え続ける」ということを求めてしまいます。
When we complete a tiny task (sending an email, answering a text message, posting a tweet), we are hit with a dollop of dopamine, our reward hormone. Our brains love that dopamine, and so we’re encouraged to keep switching between small mini-tasks that give us instant gratification.
Multitasking Is Killing Your Brain | Inc.com
小さなタスク(メールの送信、テキストメッセージの返信、ツイートの投稿など)を完了すると、報酬ホルモンであるドーパミンが放出されます。脳はドーパミンが大好きなため、報酬を与えてくれる小さなタスクの切り替えを続けるように促されます。
だから、「マルチタスクは気持ちいい」のです。
マルチタスクには充実感を伴うため、ついつい行ってしまいがちですが、マルチタスクを行うたびに脳は損傷を受け仕事のクオリティを下げることに直結します。
ミシガン州立大学の研究で「作業の途中にポップアップ広告を出す」という実験をしたところ、ポップアップによって作業が2.8秒中断されると、ミスの発生率が2倍になり、4.4秒中断されると、ミスの発生率が4倍になることが報告されているそうです。
これらのまやかしの満足感を防ぐには、具体的に「〇〇時まではこの作業を行う」などのように時間を設定し目の前の作業にできるだけ集中するようにすることが重要です。
アストンではセキュリティリスクのチェックリストを無料で配布しています。
5分でわかるセルフチェックリストとなっているため、お気軽にお試しください。
男はマルチタスクが苦手、は嘘
かつて一世を風靡した考えの一つに「男性はマルチタスクが苦手で、女性はマルチタスクが得意」というものがあります。
これは最近の研究では否定をされており、「マルチタスクは全ての人が苦手である」という結論が出ています。
They found multitasking substantially affected the speed and accuracy of completing the tasks for both men and women. There was no difference between the groups.
Women aren’t better multitaskers than men – they’re just doing more work (theconversation.com)
男女どちらも、マルチタスクがタスクの完了スピードや正確さに大きな影響を与えることがわかりました。グループ間に差はありませんでした。
結局のところ「マルチタスクを処理できる」のではなく、「マルチタスクでせざるを得ない」ためにマルチタスクを強いられている状況だと言えます。
これらは人材が限られる中小企業においては顕著な傾向であり、一人の「パソコンに詳しい人」がたくさんの雑事を引き受けざるを得ない状態になっています。
これはひとり情シスの問題としてもっと広く認識されるべき問題です。
あなたの会社に「パソコンに詳しい人」いませんか?
皆様の会社には「パソコンに詳しい人」と聞いて思いつく人はいるでしょうか?
もしも社内に「パソコンに詳しい人」がいる場合には要注意です。
ここまで上げてきたように、マルチタスクは仕事のミスを増やし、脳に損傷を与えることを紹介してきましたが「パソコンに詳しい人」と思いつく人間がいる場合には、その人に業務外の業務が集中している可能性があるからです。
「パソコンに詳しい人」は往々にして「若いから」とか「エクセルの資格を持っているから」とかそういうレベルの人に持たれがちな称号です。
一般的に情シス(情報システム部門)では情報システムの開発・運用・保守といった業務を行うため、複数人で対応するべきものですが、ひとりしかパソコンの困りごとを解決できる人がいない状況はひとり情シスになってしまっているいえます。
ひとり情シスが生まれる理由としては、企業に人材のリソースが少なかったり、情シスを担当できるだけの知識がある人が少なかったりする点など、多くの場合では社内の情報システムを運用・保守できる人材の希少性ゆえに一人となってしまっているケースが多いです。
ひとり情シスの弊害
「ひとり情シス」とは、1人の情報システム担当者が社内のすべてのIT関連業務を担当する状態を指します。
ひとり情シスには、主に以下の3つの問題があります。
- システムを管理する企業担当者の負担が重い
- いざというときの対応が遅れる
- セキュリティ対策まで手が回らない
このような状況は、個人だけでなく、組織全体の生産性や効率にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、中小企業においては、ひとり情シスの負担を軽減し、彼らが主な業務に集中できるような環境を整えることが重要です。これにより、個人のストレスや疲弊を軽減し、組織全体の生産性や効率を向上させることができます。
<ご相談はアストンへ>
アストンでは集中しがちなタスクを肩代わりします。
ネットワークの構築からルールの策定など、お気軽にお問い合わせください。
まずはご相談ください。
株式会社アストン TONグループ
03−4360−8676
https://aston.jp/contact/